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意見表明

−安全保障関連法の「成立」に際して−

 

安保関連法案廃案を求める日本大学教員の会

2015年9月19日

 

 2015年9月19日未明,安全保障関連法が参院本会議で「可決・成立」しました。

 当法案の今国会における廃案を求めていた「安保関連法案廃案を求める日本大学教員の会」はこれに際して以下の意見を表明します。

 そもそも法案内容は集団的自衛権の行使を容認するものであり,これが現行憲法に反することを9割以上の憲法学者や最高裁元長官,内閣法制局元長官など多くの司法関係者が指摘しているにもかかわらず,それがまったく参酌されていません。また国会答弁において,安倍首相,中谷防衛大臣等の発言には一貫性がなく法の必然性をとうてい説明しえておらず,議論が不充分なままに法案は採決に持ち込まれました。そのため多数の国民から理解が得られなかったにとどまらず,法案反対を唱える未曾有とも呼べる広範な「国民運動」が展開されていますが,政府与党はこれを直視できずにいます。加えて,9月17日の特別委員会では,地方公聴会の報告もなされず,何が起きているのか確認できないような異常状態のなかで暴力的に強行採決がなされました。これら諸点に鑑みるに,「成立」した安全保障関連法案には法的正統性がないと判断します。

 立憲制,国民主権という国家の根本制度に背を向ける安倍政権の傲岸な姿勢に強く抗議をするとともに,私たちは引きつづき安全保障関連法をいったん廃止するよう求めます。

 昨日9月18日は柳条湖事件から84年,本来ならかつての日本のアジア侵略を思い起こして膨大な人数にのぼる殺戮を惹き起こした当時の政治を静かに省みるべき日のはずでした。残念ながら与党政治家たちは負の過去を銘記すべきとの規範的姿勢も被害側の心情への感受性,想像力も持ちあわせていなかったようです。しかし,政権の暴走を奇貨として,平和,自由,民主主義を真のものにしようと自覚した市民の意識を後戻りさせることはできません。私たちも,この間さまざまな表現形態で法案反対の態度を明らかにした人びとに勇気づけられつつ,今後もそれぞれの場でなしうることをつづける所存です。

 

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